ジョルジュ・カンギレム著 『正常と病理』

ジョルジュ・カンギレムは1904年生まれのフランス人で、哲学、医学を修め、パリの大学で科学史・科学哲学の教鞭をとった人物である。

彼が修めたとされる医学がどのような内容であったのかは私には分からない。ただ原著の書名が、正常と異常や、正常と病気などではなく、malade(病気)やmaladie(疾病)でなくpathologique(病理学的)であることを考えると、当時の病理学についての十分な知識はあったと推察する。

そのジョルジュ・カンギレムが著した『正常と病理』は、私達が何気なく使っている病気とか疾病とかの概念が、いかにあやふやで不明瞭なものなのかを教えてくれている。正常と異常(病理学的な)の線引きは簡単ではないのである。たまにはこうした本を読んでも良いと思う。

因みに原著はGeoges Canguillhem, Le normal et le pathologique, 1943である。英語版もあり、The Normal and the Pathological  でこれにはMichel Foucaultが紹介分を寄稿している。

 

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